豊富な資源を持ち、観光でも人気を集めながら、日本では「アメリカの隣国」のイメージをぬぐえないカナダ。
しかし自動車産業の興隆、多民族社会と医療制度の充実など、注目すべき点は多い。
リーマンショックの痛手から、一早く立ち直った国の通貨の動向を探る。

多くの山脈と湖、豊かな自然を擁する国土

世界で2番目に大きな国、カナダ。
昨冬、バンクーバーで繰り広げられた氷上の熱い戦いは、まだ記憶に新しい。

 

一般的なイメージに違わず、最大の特徴はやはり恵まれた自然環境にある。
ロシアに次ぐ広大な国土は総面積9,970,610平方キロ(日本の約27倍)。
その中には39の国立公園と200万以上の湖が点在している。
肥沃な平野から、ロッキー山脈等の世界的に有名な山脈、北極ツンドラに続く原生林を従え、多様で変化に富んだ地理となっている。

 

国土は10の州と3つの準州から構成されている。
人口は約3,200万人。
首都は東部オンタリオ州のオタワだが、国内最大の都市はトロント(オンタリオ州/511万人)であり、以下、モントリオール(ケベック州/364万人)、バンクーバー(ブリティッシュコロンビア州/212万人)と続く(データは2006年)。

 

2010年の英国『エコノミスト』誌の調査では、【世界で最も暮らしやすい都市】として、バンクーバーが4年連続でトップに選ばれているが、他にも4位にトロント、5位にカルガリー(アルバータ州)がトップ10にランクインしており、生活環境の良さがうかがい知れる。

 

理由としては、単に豊かな自然に恵まれていることだけでなく、「医療保険制度の充実」等の生活基盤の整備も考えられる。
カナダでは歯科治療を除き、基本的な医療は無料で提供されている。
「医療と教育はすべて平等」という理念のもと、医療については国民皆保険の体制が確立されているのである。

 

移民・難民の受け入れにも積極的だ。
より良い生活を求めて世界各国から押し寄せる移民・難民と、先住民との融合が図られ、民族構成はバラエティに富んでいる。

 

今では200以上の民族が共存しているが、2006年の国勢調査によれば、白人83・7%、南アジア系4%、中国系3・7%、黒人2・5%、先住民族3・8%の人種別構成となっている。

 

これを制度として支えているのが1971年に世界で初めて採用された「カナダ多文化主義」である。

 

これにより、英語、フランス語が公用語とされるとともに、個人のバックグラウンドを問題としない、公平で平等な社会参加が推進されることとなったのである。

 

その後も1986年には「雇用均等法」、1988年には「多文化主義法」が制定され、国の基本方針とされている。
こうした多様な文化を受け入れる「土壌」も、国際的な競争力を高めている一因と考えられている。

 

しかし、基本的には移民文化で、多種の言語が存在するため、潜在的な問題も内包している。

 

香港返還に伴う香港人のカナダへの移民が印象に残るが、決して政治的に安定しているとは言えない時期があったのも事実である。

 

イングランド系、スコットランド系、アイルランド系など英語圏を中心とする移民が約半数を占めているが、15%を占めるフランス系移民の多くがケベック州に集まっているため、ケベック州の公用語はフランス語のみとなっている。

 

1995年にはフランス語圏のケベック州独立に関わる住民投票が行われ、僅差での否決とはなったが、このケベック問題が将来にわたって新たな火種となる可能性は、依然残されている。

 

2000年以前は、ケベック問題がニュースに上るたびに、カナダドルの売りが目立った時期もある。